2LDKのお姫様

「えぇ。今週中にでも」



やけに急だ。



この休み、お互いバイトなどでなかなか二人きりの時間がなかった。



なのでシオリは勇気を出して彼をどこかに誘ってみようて思っていたのだ。



『どれくらい向こうにはいるの』



やはり、今年はあきらめてしまおうか。別に特別「今」という理由も無いのだ。



「5日くらいはいると思います」



『そう……』



こんな時。



上手く淋しそうな顔が出来れば、そんな僅かな変化を読み取れる事が出来るなら、私たちはもっと良い恋人同士になれるのだろうか。



「そういえば、こうやって二人きりは久しぶりですね」



『そうね……』



シオリはそこまで不満を言う人では無いが、表情にはよく現れる。



特に彼と二人きりでいるときは、いや彼に不満がある時はよくそれが解る。



もちろん彼もそのことにはよく気付いている。



「まう一回しますか」



優しく彼女を後ろから抱き締める。



『馬鹿………』