2LDKのお姫様

拒みきれなかった自分も悪いのかもしれないが、つくづく馬鹿な女になりはしないかが怖い。



抱き寄せられる身体、彼に触れられるだけで、何か感じてしまう私の身体。



『…………』



「あぁ……おはようシオリさん」



もう、無視してやりたい。
彼の声を聞いただけで、少し安心した自分がいたからだ。



『どこにいたの』



「いや少し書庫の方を片付けてたんですよ」



『どうして……』



今ごろからいつも使いもしない書庫を片付けて何をするつもりなのか。



まさか、私を監禁する気なのだろうか。恐ろしい。



「いや、最近母親の実家の方から帰省の催促が多くて。だから少し荷物を纏めておこうかなと」



彼の母親の実家。



そういえば、彼から家族の話なんて聞いた事がなかった。いや、本当は私の手間遠慮がちになっているのだろう。



『それで………帰るの』