彼女と出会ってから、もう2年以上経つのだ。完璧な人だが、弱点だって幾つもある。
いや、知っている。
「言う気になりましたか」
『わかった……わかったから』
息を切らしながら、もうやめてと必死に布団を脚にかぶせた。
どちらが歳上かわからないとも思ってしまうような光景だが、事実、彼女の方が歳上であり、私生活での権力も上である。
しかし、どうもベッドの上ではそれが成り立っていないのだ。
「でも、やっぱりまだ後で良いです」
『…………やっぱりね』
結局、やはり今は彼にとって彼女のいざこざなんて、そんな事はどうでもいいのだろう。
『……風邪ひかないでよ』
彼はいつも冷静だが、たまに熱くなりすぎる所がある。
「大丈夫ですよ。終わったらちゃんとお風呂に入るんで」
『…………』
そういう問題だろうか、と彼女は思ったが唇は塞がれてしまっているため、最早口出しの権利は無い。
いや、実際彼女も何も言う気はなかった。



