『ちょっと、にやけないで』
ベッドに入ってすることなかった二人は、自然とキスをする。
別に決まっている事ではない。
「いや、だって珍しく香水つけてるから」
彼女は真剣に彼の愛を受け止めたいのだが、彼がなかなか集中してくれない。
別にこれはいつもの事だから、彼女も我慢出来ない訳ではないが、しかしどうも気に食わない。
『私だって、香水くらいつけます』
確かにシオリは香水はあまり付けない。いや決して今日も香水を付けているのではない。
正確に言えば、付いてしまっているのだ。
「何か心変わりでもあったんですか」
『別に……何も』
外方を向くシオリは今日は自棄に落ち着いた表情をしている。
いつもなら顔を合わせてだけで、真っ赤になることがある人なのにだ。
「ちょっと、いいですか」
『え……』



