「いや、ちゃんと言ってください。気になるから」
『…………』
珍しく彼の口調が強いため、彼女はさっき以上に驚いた。
『いや、本当に何もないの』
彼女も真剣に返した。
しかし、何もないと言われても納得がいかない。
「………」
やきもきが止まらない。
しかし……
「あれ、二人して何やってるの」
部屋から次はホノカが出てきた。
「シオリ、早く行かないと間に合わないよ」
『そうね』
二人して何処かへ行くらしい。
「どこに行くんですか」
行かせるわけにはいかない。
大は真剣な面持ちを浮かべながら、道を譲る気は無い覚悟を見せている。
「何言ってんのよ、早くしないとシオリが遅れちゃうじゃない」
「え、遅れる……」



