2LDKのお姫様

「あ、やっと起きたんですね」



寝呆けていた瞼が、彼の声に一気に目を覚ます。



『ご、ごめんなさい………』



彼の返す言葉が想像出来ないくらい、怖い。そんな表情を浮かべていた。



「ちょっとあの二人を呼んで来ますから。その後コーヒーいれるから、座っててください」



(安心した。いつもの彼だ。)



「結局昨日、シオリさん。途中で寝てしまって。覚えてますか……」



3人をテーブルに座らせ、コーヒーをいれる。



テーブルに並べられたサラダとトースト。卵が切れていたため、いつもの目玉焼きは無い。



おそらくホノカもしゅいろも、朝からこんなライトなモノを食べた事は無いだろう。



テーブルには湯気のたつ珈琲置かれ、朝食がやっと始まる。



『本当に──ごめんなさい……』



第一声は思わぬシオリの懺悔から始まったのだった。久しぶりに頭を下げる彼女だ。



「良いんですよ。シオリさん疲れが溜まってるでしょうし」



「そうそう。無理は良くないわよシオリ」



大とホノカは目を合わせて、口も合わせた。



シオリは目を細めて彼の目を見た。



前髪が垂れて、長い睫毛にあたり揺れている。その奥にある、強い目。



『……』



(何か文句を言われた方がまだマシンだった。)



一瞬だが、静かなダイニングに無言が………続いた。