何か怒らせるようなことでもしたのだろうか。
二人は不意に熟考を始める。
逃げる様に去るシオリの手を掴めば、優しい彼女は戻って来ていただろうか。
いや……
『別に。何でも無い』と明らかに機嫌が悪そうに手を振り払われていたに違いない。
「大くんが何かしたんじゃないの」
しゅいろもそれくらいは解る
「俺が……」
全く覚えが無い。
「今夜暇だったら図書館に行きませんか。ゆっくり話したい事もあるし」だったらどうだろうか。
『行かないわよ。……私そんなに暇じゃないんだから』と言われるような気がする。
結局、プイと怒って部屋へ戻って行く彼女を留めれることは不可能だと思ってしまう。
「あぁあ。やっちゃったね」
しゅいろはそう言いながらくるりと一回まわって、ソファーに腰を下ろした。
「何もやってないよ……」
彼は珍しく溜息をついた。



