「ふあぁ〜」 午後の講義ほど退屈なものはない。 「ねー、真弥」 マイクの電源が入っていないことにも気づかず、淡々と一人演説をする講師を尻目に、由紀がこっそりと耳打ちをしてくる。 「なぁに?」 「なぁに?じゃなくて!私に話すことあるでしょ」 「…話すこと?」 ……あ。 そういえば、まだ由紀に話してなかったんだ。 映画館での出来事。 「……」 今でも思い出すと、体中に寒気が走る。