「おはよう!」


「おはよー!」


階段の上がりきった瞬間に聞こえてきた、みっちゃんの声。
目の前に見える教室には、まだ吹奏楽部が朝練をしていた。


「あれ? みっちゃん朝練は?」


「早めに終わったの! 桃花は?」


「あたしの部に朝練なんてありませんからー♪」


みっちゃんはバドミントン部。
一方あたしは文芸部。
朝練ったって、なーんもやることないわけ。

あたしはバド部の練習がキツイこと知ってて、それでも音符付きで返した。


「いーなぁ、いーなぁ、いーなぁ!!」


みっちゃんはあたしの背中をポコスカと叩く。


「痛いから!」


お互い笑いながら、吹奏楽部が教室から出ていくまで、廊下でしゃべり合っていた。





あたしもみっちゃんも、昨日のことなんて忘れたように




笑い合っていた――。