【完】ペテン師との甘い夜

「君は今まで満足したことある?」



艶やかな笑顔で彼はそう言った。



「何故、そんなこと聞くの?」



「だって、瞳が訴えてるから。」



彼は綺麗な指で私の頬を包むと自分の唇を耳元に寄せた。



「オレを騙すなんて、無理だからね。」



「どうして?」



「オレは、ペテン師だから。」



そう言うと、彼は私から距離を取った。



彼は指をパチンと鳴らす。



次の瞬間……。



彼の左手からは赤い薔薇が一輪出てきた。