ざわついた雰囲気が止み、音の根源がやって来る。



「伊織〜?いつ来たの?」



へらへらとしているペテン師は余裕で私に近づく。



「今日は遅かったね〜?」



「ええ。国見"夕"社長に会って来たから。」



私の言葉に一瞬眉毛がピクリと動いた。



朱美ちゃんは訝しげに私とセキを見比べている。



「え…?だって国見夕って…。」



「シュウは黙ってて!!」



セキは朱美ちゃんを睨む。



朱美ちゃんは舌打ちしてカクテルを飲み干した。