「朱美ちゃんは、女の子嫌いなんでしょ?」



「嫌いよ。でも、伊織チャンの為ならね〜。」



朱美ちゃんは本気なのか冗談なのかわからないように、また日本酒を飲んだ。



「でも、朱美ちゃんが男になる瞬間なんて見たくないわね。」



「ふふふ。そうね。」



朱美ちゃんはオレンジに近い茶髪をかき上げると



「マスター、お代わり。」



と日本酒の瓶を振った。



「どうせ、またすぐ男なんて寄ってくるわ。」



私は擦れた声で言って煙草の煙を噴いた。