「なんでよりにもよってこの男なのかね。」



朱美ちゃんが不機嫌そうに煙草をふかす。



「朱美ちゃん、私にも一本ちょーだい。」



私が言うと、朱美ちゃんは箱から一本出した。



「オレ、ブランデーね！」



セキが注目している。



「マスター、カクテル。」



朱美ちゃんが私の分も頼んでくれた。



「ねぇ、『朱美ちゃん』？」



セキは朱美ちゃんに笑いかける。



「なんだよ？」



朱美ちゃんは女言葉も忘れてセキを睨む。



一触即発。



まさにこのことだわ。