【完】ペテン師との甘い夜

私の手に、セキの乾いてひんやりした手が被さる。



その瞬間、ドクン、と心臓が跳ね上がった。



冷えてるはずの私の左手からはどんどん温度上昇を感じる。



ドクン…ドクン。



「いーおり?」



ドクン…ドクン。



ヤバイ。



体が言うこと利かない。



セキの瞳に、セキの体温に、完全に支配されてる。



しかも、私の本能はこの状況を嫌がっていない。



寧ろ…彼を求めている。



もっと私をみつめて。



もっと私に触れてって…。