優しく導かれて私はセキの車に乗り込んだ。



「大丈夫。伊織に迷惑は掛けないよう、夕ちゃんも朱也もしてくれるから。」



この期に及んでなお妖艶な笑顔を絶やさないセキ。



いつだかお店で歌っていた外国語の歌を歌っていた。



「ねぇ、セキ。」



「ん?なぁに?」



私が話しかけると一旦歌を中断させる。



「その歌、どういう意味合いを持った歌なの?」



「"信愛"だよ。ポルトガル語の歌なんだ。」



信愛…か。



確かに今のセキの横顔からは何故か神聖な愛を感じた。