【完】ペテン師との甘い夜

「事情を、話してもわらわないことには何もできぬ。」



静寂の中、先に口を開いたのは佐倉典之だった。



「このままじゃ、勇治は犯罪者になりますよ?」



「どういう、ことだね?君は誰なんだ?」



オレは唇の端をあげて笑う。



佐倉典之の顔色が変わったのが分かった。



今までの経緯を全て話し終わる頃には、まるで悪魔でも見るようにオレを見ていた。



「貴方、孫が犯罪者になってもいいんですか?」



「君が勇治になれば、何か変わるのか?」



そんなこと、聞く必要ある?