【完】ペテン師との甘い夜

そんなことを考えてるうちに迎えがやって来る。



「夕様、お出かけですか?」



「あ、今からオレのじいちゃんに会いに行くから。」



オレは"霧島勇治"になりきって言う。



無駄に大きな玄関を出て迎えの車に乗る。



車に揺られて30分くらい経っただろうか。



和風のきらびやかな家が姿を表した。



「フーン。綺麗な邸宅だね。」



「俺の家じゃないけどな。」



あくまでも無表情な勇治。



勇治は、佐倉典之が心底嫌いらしい。