『もしもし、伊織チャン?』



「朱美ちゃん、国見社長の髪の毛手に入ったわよ。」



私は透明な袋を入れた髪の毛を見つめて言った。



『ホント!?今どこ?』



朱美ちゃんは何時もより感情の篭った声が電話越しに響く。



「会社を出て、駅にいるわ。」



『分かった。直ぐに行くわね。』



少し早口な喋で言って朱美ちゃんが電話を切る。



これで、真実に近づける。



私は小さな袋を見つめ袋を握っていない左手を膝の上でぐっと握った。