【完】ペテン師との甘い夜

「先日は、酒に酔ってたとはいえすまなかった。」



先日…?



ああ、キスした件か。



「別に気にしてませんよ。」



だってベロンベロンに酔ってたからね。



キスくらいじゃ怒らないわ。



「そっ…そうか。」



国見社長は気まずそうに頷き私を黒いソファーへ促す。



私はソファーに座りながら考えていた。



この国見夕という一人の男は、きっとセキや朱美ちゃんのような特異な人ではなく、多分普通の人なのよね。



この間居酒屋へ行ったとき思ったし、さっきの表情を見てもそう。



ごく普通の人間。