【完】ペテン師との甘い夜

手にぐっと力を入れる。



取れた…かしら?



私は力を抜くようにスルリ、と手を離した。



私はうっすら瞳を開き、薄目で朱美ちゃんを見つめる。



朱美ちゃんはこくりと頷いたかと思うと、私の手にゆっくり触れた。



多分今、髪の毛をすり取ったんだよね…?



と、頭の片鱗にはあるんだけど、セキの唇の感触で私の意識は遠退いて行った。



ゆるり、と唇が離れると、なんだか名残惜しく感じられる。



「…フーン、シュウったら、考えたねぇ。」



離れた彼の唇から信じがたい音が発っせられた。