【完】ペテン師との甘い夜

セキのことをじっと見ていた朱美ちゃんが、目だけ動かして私の方に向いた。



その灰色の色素の薄い瞳が、私に『しっかりやれよ』と語りかけてる気がする。



「なぁに〜?目配せなんかしちゃってさ。」



烏龍茶を飲みきってグラスを振るセキ。



カランカラン、と氷が音を奏でながら溶け出していた。



「さぁ?あんたには、関係ないじゃない?」



ねぇ、と朱美ちゃんが意地悪く微笑んだ。



きっと、わざと怒らせようとしてりる。



なんとなく、そう思った。