【完】ペテン師との甘い夜

「その、シュウって呼ぶの止めてくれる?」



朱美ちゃんは少し怒った感じで言う。



「だって、君の本名は朱也だろ?しゅ・う・や!」



セキは意地悪く唇を尖らせる。



「お前…殺す。」



すっごいどす黒い声。



「セキ、あんまり朱美ちゃん、怒らせない方がいいわよ。」



「はいはい〜。」



相変わらずへらへらとしたペテン師が、カウンター越しに烏龍茶を頼んでいた。



「今日は飲まないの?」



「うん。今日は気分じゃないからね〜。」



セキはそう言い終えると烏龍茶を手に取り、喉仏をコクンコクンと動かしながら飲んだ。