「霧島勇治と君は、既に顔を合わせている。」



当たり前の様に、六道は顔を訝しげに歪ます。



「それだけ!じゃあ、またね。」



セキは軽い足どりで車に戻って行く。



「夕ちゃ〜ん、行くよ!」



「ん…あぁ。」



我ながら、間抜けな声を上げる。



コイツは、やっぱり何考えてるか分からない…。



やっぱり、『ペテン師』だな。



セキが車のエンジンをかける。



静寂の夜にエンジン音が広がった。



バックミラーには、六道が睨んでいる姿がずっと映っていた。