【完】ペテン師との甘い夜

10分くらい車を走らせただろうか。



ビジネスホテルのようなマンションにたどり着く。



そのマンションの前に細い腕を組んだ男が立っていた。



「六道朱也…。」



「今は"朱美ちゃん"らしいよ。」



セキはクスクス笑いながら車を降りる。



しょうがない。



俺も重たい足を無理に動かして高級車のドアを開いた。



「何が用?…あんたは!」



六道朱也…いや"朱美"は、俺の顔を見るや整った顔を驚きの色でいっぱいにした。