下に降りると黒い高級車にもたれ掛かっているセキがいる。



「夕ちゃん、行こうか?」



アイツはニヤリと妖艶に微笑む。



この顔、いけ好かない…。



そしてコイツに"夕ちゃん"と呼ばれることも。



俺は自分の短い黒髪を引っ掻き回し、セキの嫌味なくらい綺麗な車に乗り込んだ。



車に乗ると会話も無し。



セキは外国語の歌を口ずさむ。



一体、何処の民族の歌なのだろうか。



俺がセキと出会った頃から聞き慣れた歌だった。