「なんだお前か…。」



『連れないねぇ、君も。』



セキはクスクス笑うように言った。



余裕を漂わすその声。



やっぱり少ししゃくに触る。



「で?何か用か?」



俺は苛立ちを飲み込みセキに尋ねた。



『伊織を駅まで送った。今からシュウのとこに行くよ。』



シュウ…六道朱也か。



「目的は?」



『来れば分かる。』



セキはそう言うと軽い声で挨拶してぷつりと電話を切った。



「しょうがない…。」



俺は再びスーツに着替えマンションを後にした。