俺が、俺がセキに敵うわけもないのにな…。



「俺は、欠落品、の"国見夕"だから…。」



分かっている。



でも澤木伊織だけは、アイツから、奪いたい…。



そう思ってぼんやりとしているとマンションの下で車のライトがチカチカしていた。



リビングでは携帯が鳴っている。



俺は煙草をベランダに置いている灰皿に煙草を捩込み、携帯電話を耳に宛てた。



『ヤッホー、夕ちゃん。』



声の主はやっぱりアイツ。