さっきまで感じていた国見社長の温もりが無くなり、この空間には私とセキの二人きりになる。



セキの月夜に照らされる美しい細いシルエット。



吸い込まれずにはいられない。



一歩、一歩近寄る。



セキも足音を出さずにすっと寄ってきた。



ふわっと私の顎にセキの指が触れる。



「夕ちゃんのキス、そんなに良かった?」



口角を上げたままセキは言う。



色気のある唇に胸がドキッと高鳴る。



茶色い髪の毛が月光を吸い上げて神秘的さを際立たせてる。