本当に私は迷いの森の中なのかもしれない。



その森を抜け出す為にもがいてももがいても、どんどん私は深部に入ってしまっている。



どうか、誰か。



私をここから連れ出して…。



「これ以上あんたに触れたら、アイツに殺されるな。」



国見社長は突然私から離れると、私の後ろを見つめた。



そこには



「セキ…。」



妖艶に笑うペテン師。



「じゃあな澤木。また飲もう。」



国見社長はクスクス笑いながらマンションの方向へ消えた。