「僕だってこんな力望んだわけじゃない。でも、持ってしまったならば役に立たないといけない。
毎回こんなんじゃ、何の為にアーヴァイスに来たんだか分からないよ」


嘆くリセに、役員はかける言葉もなかった。

今日もまた医院働きか。そうと分かったならば、さっさと立ち去ろう。

リセがギルドから出て行こうとしたその時だった。


「ルーディーさん、これ……」

「え、新しい依頼? 何何……え、“解放者”向け? リセ、ちょっと待て」


別の役員がリセと話していた役員、ルーディーに新しい依頼の紙を渡し、

それを見たルーディーはリセを呼び止める。出入り口の扉に手をかけていたリセは名前を呼ばれて振り向いた。


「リセ、良かったな。解放者としての仕事だ。だが……」

「分かっているよ。今手の空いている解放者が僕だけなんでしょ?」

「あ、ああ……」


リセは何よりも仕事が入っただけでも良い、と思うようになってしまっているようだ。