「そっちだって久々のくせに、やっと望みの仕事が入ったからって良い気にならないでよ」

「言っていろ。貧弱もやし」

リセがそう言われるのには理由があった。このアーヴァイスにはリセと同類の人間が多く住んでいる。

その殆どがこのようにギルドでこの特殊な依頼をメインに様々な依頼をこなしている。

いわば賞金稼ぎだ。だがリセは違った。

リセはそれ以外の依頼を引き受ける気がなく、こうして医院で働いていたのだ。


「僕はギルドで受ける依頼はそれだけにする、って決めているんだ。
野蛮なお前たちみたいな賞金稼ぎとは違ってね」

「はっ。これだからお嬢さんは……じゃ、オレはこれで」

「だから僕は男だ! お嬢さんは……」


そこまで言いかけた所で、男はいなくなった。


「言わせたい奴には言わせておけ。しかし、お前の運のなさは凄いな」


リセがその仕事の依頼を受けたのはほんの数回だけである。

しかも殆どの理由が“空いている人間がリセだけだった”というだけである。