「ノックしても反応ないから勝手に入らせてもらうよ?」

「ひっ……!? ……なんだ、女将さん」

「その反応はひどいねえ。そうそう、ロディア君がラウンジに来ているよ」


突然の女将の来訪に心臓を飛び跳ねさせたセレンであったが、

ロディアが来ていると言うからには何かあったに違いないと思い、

女将よりも先に部屋を飛び出し、ロディアのいるラウンジへと走って行った。


「やあ、お嬢さん。お菓子を焼いて来たから、持って来たんだ」


セレンの期待はもろくも崩れ去った。

ただロディアは自分の為にお菓子を持ってきただけだったのだ。


「今はそんな場合じゃないって分かってい……」

「分かっているからこそ、だよ。気分を少しは変えないと」

「うう……そういえばウィルド君は?」

「引き続き聞き込みだよ」

「そうですか」