「だから、考えられないって言っているじゃないですか! 証拠はこれです」

「何故それが落ちていただけで解放者様が失踪した、って根拠になるのかな?」

「リセ君、一度だけ教えてくれたんです。
“この首飾りは母親から貰った大切なお守りだから、寝る時はお風呂に入る時以外は肌身離さず付けている”って。
そんな大切なお守りが、ですよ? どうしてこんな所に落ちていなければならないんですか!?
大切な物ならば、こんな所に落としてほったらかしにする訳ないじゃないですか!」

「まー……お嬢さんのその主張も分かるけれど、彼が仮に事件に巻き込まれて失踪したとして、彼を襲って誰が得をする?」


警察の言葉ももっともな箇所があるせいか、セレンもなかなか反論が出来ない。


「納得してくれないようだね。じゃあ、こうしよう。
今日いっぱい、お嬢さんの元やリングデイさんの元に彼が姿を現さなければ、彼を捜そう。
今はまだ出掛けている最中の範囲から抜け出せないからね」

「そんな……! リセ君、絶対今日は意気込んでいた筈なのに……約束を破らせるんですか?」

「すまないけれど、こちらからは……」


警察の提案に今にも泣きだしそうなセレンに救いの手を差し伸べたのは、

リセ失踪疑惑の話を聞き、そんな彼女を心配してやって来たロディアであった。