歳は五十代前半らしいが、見た目は若く、まだ三十代後半にも見える程である。


「リセ・アディートさんですね。お待ちしていました。
早速ですが、まずは“彼”に会っていただ……」

「会いました。役場まで案内してくれたので。
顔は分からなくても、足元を見ればすぐに分かります」

「そうでしたか。流石は解放者様だ。ならば会う必要はなさそうですね……」


“彼”がいなければ、リセは恐らく到着までにまた時間を要しただろう。

ウロウロしている所を助けてくれたのが、まさか自身が救う事になる相手だったとは。

しかし、リセは肝心な事を忘れていた。


「いいえ、会います。彼、僕が案内してくれた事へのお礼を言う前にすぐいなくなったので」