「家に戻って下さい! 支度をしてラピアスに向かいます!」

「ですが、旦那様に黙って……」

「大丈夫。後から事情を話せば、お父様は分かって下さるから。
あ、フェイルさんはついて来なくて良いですよ? 私一人で行くので。
駅まで送って下さるだけで良いです」


言ったら聞かないのが“彼女”である。

だからなのだろうフェイルと呼ばれた使用人は、

大きな溜息を吐きながらも素直に言う事に従った。


「本当に言ったら聞かない所は、お父上そっくりですね。
セレンディーネ様は」