私は、歌った。 声にならなくても、歌った。 涙で前が見えなくても。 まだ届くはずだと、望みをかけて、歌った。 指は動いた。 随分と久しく弾いていなかったあの曲を。 がむしゃらにバンドのコピーを練習していたバンド時代。 どれだけ練習してもミスが多かったにも拘らず、この曲だけはここ最近練習していなかったのに間違いなく、弾けた。 きっと、傍で瑞希が教えてくれていたんだ。 コードを、歌詞を、リズムを。