学園生活は溺愛の始まり〜白馬の王子様は、一人だけ。〜

「まずは隣の、二年生の学年一位の部屋からね」

簾弦先輩に連れられてやってきたのは、私の部屋のすぐ隣にある302号室。

重厚なドアの前まで来て、私は思わず目を丸くした。

なんと玄関ドアの真ん前に小さなミニデスクが置かれていて、その上には丁寧にもボールペンとメモ帳が備え付けられているのだ。

「……えっ、簾弦先輩、この机は……?」

「あはは、驚くよね。彼は重度の引きこもりだからさ。連絡を取りたい時は、まずインターホンを一度押して、要件をメモに書いてドアの下から差し込む方式なんだよ」

「ドアの下からメモを……!?」

「うん。そうすると向こうがパソコンで返事を打って、部屋にあるプリンターで即印刷して、またドアの下から返してくれる仕組みになってるんだ」

「ハイテクなのかアナログなのか分からないシステム……!」

私は感心しながらも、デスクからペンとメモ用紙を一枚取った。

言われた通り、まずはピンポーンとインターホンを一度だけ押す。

シーンと静まり返るドアの向こう側に緊張しながら、メモ用紙にさらさらと文字を走らせた。

『はじめまして! 今日から303号室に入居した、一年生の花園姫奈です。これからよろしくお願いします!』

書き終えたメモをかがんでドアの隙間からすーっと差し込む。

……すると数秒後。