学園生活は溺愛の始まり〜白馬の王子様は、一人だけ。〜

「う〜……やっぱり、ちょっと寂しいなぁ」

駅へと続く並木道を歩きながら、私は思わず小さくため息を漏らした。



心地よい春風が吹き抜け、満開の桜の落片がふわリと鼻先をかすめていく。


いかにも春!という感じでうっとりするような幻想的な光景だ。


今日から私が通う私立近衛(このえ)学園は、中高一貫の完全全寮制。


夏休みなどの長期休みを除けば、家族と離れて暮らさなければならないんだ。


さっき笑顔で家を出てきたばかりなのに、もう胸の奥がキュッと締めつけられるような寂しさが込み上げてきてしまう。


ううん、ダメダメ! 私は慌てて自分の両頬をパチンと叩いた。


「ポジティブに行かなきゃ! 今日から憧れの中学生活が始まるんだから!」


「……朝から一人で何やってんの」