恋の花火がきえる時。

その日の放課後。

 図書室の当番を終えた私は、廊下で光輝を探していた。

「光輝、どこにいるんだろう……」

 校庭のほうから、楽しそうな声が聞こえる。

 窓の外を見ると、光輝が女の子と話していた。

 相手は、隣のクラスの女の子だった。
 長い髪が風に揺れていて、光輝の前で嬉しそうに笑っている。

 光輝はいつも通り、少し無愛想な顔をしていた。

 でも、その子が何かを言うと、ほんの少しだけ口元を緩めた。

「……笑った」

 胸の奥が、きゅっと痛くなる。

 病気のときとは違う。
 苦しいのに、息はできる。

 なのに、なぜか逃げ出したくなった。

「理紗?」

 後ろから美咲ちゃんに声をかけられる。

「どうしたの?」

「ううん……何でもないよ」

 私は慌てて窓から離れた。

 でも、気になって仕方がない。

 光輝はあの子と何を話しているの?
 どうして、あんな顔で笑ったの?
 いつから知り合いだったの?

 頭の中が、ぐるぐるする。

「理紗、顔が怖いよ」

「えっ!?」

「近藤くんが女の子と話してるの、気になる?」

「別に!」

 思わず大きな声が出た。

 美咲ちゃんが、にやっと笑う。

「ふーん?」

「本当に別にだよ。光輝が誰と話してても、私には関係ないし」

 そう言いながら、胸がずきずきした。

 関係ない。

 そう思おうとするのに、全然うまくいかない。

 しばらくして、光輝が教室へ戻ってきた。

「理紗、帰るぞ」

「……うん」

 私は光輝の顔を見られなかった。

「どうした」

「何が?」

「さっきから変だ」

「変じゃないよ」

「変だろ」

「変じゃないってば」

 私は鞄を持ち、光輝より先に教室を出た。