帰り道。
「今日は光輝に助けてもらってばっかりだったね」
「別に」
「また言った!」
「気にするな」
「明日は私が光輝を助けるね」
「おまえに助けられるほど弱くない」
「じゃあ、困ったときは絶対に言ってね」
理紗は、光輝の顔を覗き込んだ。
「私も光輝のこと、助けたいから」
光輝の足が止まる。
夕暮れの光が、彼の横顔を赤く染めていた。
「……おまえは、自分の心配だけしてろ」
「どうして?」
「俺は大丈夫だから」
光輝はそう言って、先に歩き出す。
理紗は少し遅れて、その背中を追いかけた。
「光輝も、いつも大丈夫って言うよね」
「俺は本当に大丈夫だ」
「じゃあ、約束して」
「何を」
「ずっと元気でいること」
光輝は答えなかった。
理紗は気にせず、小指を差し出す。
「ほら、指切り」
光輝は、その小さな指を見つめた。
しばらくして、静かに自分の小指を絡める。
「……約束する」
その約束が、いつかふたりを苦しめることを知らないまま。
理紗は、嬉しそうに笑った。
光輝はその笑顔を守るように、絡めた小指をそっと握り直した。



