その溺愛、予想外につき。

右に出すはずの足が遅れる。
腕の角度もずれる。
鏡の中で、私だけがみんなから遅れていた。

「ストップ」

真白さんの声が響く。

音楽が止まり、私はその場で固まった。

「ふわ……じゃなくて、涼。今の振り、三回目」

「すみません」

「あ」

また謝ってしまった。

あさひが呆れたように息を吐く。

「謝る前に覚えれば?」

胸がきゅっと痛んだ。

正しい。
正しいからこそ、何も言い返せない。

「……わかってる」

「なら、もう一回」

あさひの言葉は厳しかった。
でも、その目は意地悪というより、できるまでやらせるつもりなのだとわかる。

音楽が再び流れる。

私は必死に足を動かした。
右、左、ターン。
腕を上げて、視線を前へ。