その溺愛、予想外につき。

こんなんで本当に大丈夫かな。
見た目だけ整えても、中身は全然追いついてない。

私は小さく息を吐いてから、水をひと口飲んだ。
冷たさが喉を通って、少しだけ頭が静かになる。

「おつかれ」

不意に声がして、びくっと肩が揺れた。

振り返ると、廊下の角にもたれるようにして、るかが立っていた。

「……るか」

名前を呼んだ瞬間、しまったと思う。
今の私は涼のはずなのに、反応が素に近すぎた。

でもるかは気にした様子もなく、にこっと笑った。

「ちゃんと名前で呼んでくれた」

「別に……」

とっさに言いかけて、少しだけ視線を逸らす。
るかはそれを見て楽しそうに目を細めた。

「その返し、だいぶ板についてきたね」

からかわれてるのか褒められてるのか、やっぱりよくわからない。
私は紙コップを持ったまま、るかから少し距離を取る。