その溺愛、予想外につき。

話し方の練習がひと区切りついた頃には、もう頭の中がいっぱいだった。

声の高さ。
語尾。
目線。
返事の短さ。
気をつけることが多すぎて、少しでも気を抜いたらすぐふわりに戻ってしまいそうになる。

「次、衣装合わせ」

黒崎さんのその一言に、今度は別の意味で心臓が跳ねた。

衣装。
つまり、本当にみんなと同じ格好をするということだ。

真白さんが先に廊下へ出ていく。
私もそのあとに続こうとして、ふと足を止めた。

「どうした?」

後ろから涼に声をかけられる。
私は小さく振り返って、少しためらってから口を開いた。