レッスン室に入った瞬間、空気が変わった気がした。
白い壁。
大きな鏡。
隅に積まれたスピーカー。
磨かれた床には、窓から差しこむ朝の光がまっすぐ伸びている。
何もかもが眩しくて、場違いなところに来てしまった気がした。
私は思わず足を止める。
その後ろで、ショートカットの女性スタッフが振り返った。
「何してるの。入って」
「は、はいっ」
慌てて返事をして、ぺこりと頭を下げる。
こんな時でもついそうしてしまう自分が情けない。
部屋の奥にはピアノの前に椅子が置かれ、簡単なミキサー機材が並んでいた。
本格的なスタジオというほどではないけれど、歌もダンスも確認できる設備は揃っているらしい。
黒崎さんが淡々と言う。
「まず確認しておくけど、これは正式なオーディションじゃない」
私はこくんと頷く。
「天宮涼の代役が成立するかどうか、最低限の可能性を見るだけだ。期待しすぎないで」
「……はい」
期待なんて、したらだめだ。
そう思うのに、胸の奥では小さな希望が勝手に灯ろうとする。
涼はレッスン室の入口近くで立ち尽くしていた。
入ってきてはいるけれど、こっちには近づかない。
白い壁。
大きな鏡。
隅に積まれたスピーカー。
磨かれた床には、窓から差しこむ朝の光がまっすぐ伸びている。
何もかもが眩しくて、場違いなところに来てしまった気がした。
私は思わず足を止める。
その後ろで、ショートカットの女性スタッフが振り返った。
「何してるの。入って」
「は、はいっ」
慌てて返事をして、ぺこりと頭を下げる。
こんな時でもついそうしてしまう自分が情けない。
部屋の奥にはピアノの前に椅子が置かれ、簡単なミキサー機材が並んでいた。
本格的なスタジオというほどではないけれど、歌もダンスも確認できる設備は揃っているらしい。
黒崎さんが淡々と言う。
「まず確認しておくけど、これは正式なオーディションじゃない」
私はこくんと頷く。
「天宮涼の代役が成立するかどうか、最低限の可能性を見るだけだ。期待しすぎないで」
「……はい」
期待なんて、したらだめだ。
そう思うのに、胸の奥では小さな希望が勝手に灯ろうとする。
涼はレッスン室の入口近くで立ち尽くしていた。
入ってきてはいるけれど、こっちには近づかない。



