ヒミツの身代わり王子様

……ふう。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。梨乃です。
あの日のこと、思い出すだけで今でも耳のあたりがカッと熱くなっちゃいます。
学校ではあんなにクールで、全校生徒の憧れの的――“王子様”なんて呼ばれている琥珀だけど、ふたりきりになった途端にあんな風に甘えてくるなんて、最初は信じられませんでした。
中庭で「ボブが好き」なんて聞こえちゃったときは、「え、私のロングじゃダメだったの!?」ってショックですごく焦ったけれど、まさか、あんなに顔を真っ赤にして照れてくれるなんて思わないじゃないですか。ずるいですよね、あんな表情、私しか知らないんだから。
「可愛すぎて頭おかになりそうだった」
なんて言われたときの琥珀の顔、今思い出しても胸がキュンって痛くなります。
みんなの前では遠い存在の彼が、私の前だけで駄々をこねるみたいに甘えてくる。
――ねえ、これって、私だけの特等席だよね?

これからも、ふたりだけの秘密の時間は、誰にも邪魔させません。
またいつか、私たちの甘い(ときどき少し翻弄される)日常をのぞきに来てくれたら嬉しいな。

梨乃より