その花が咲く頃に【第一幕】

 食後、白幸さんについて行き、屋敷の中を歩いた。
 他にも色々な用途の部屋がいくつもあり、迷子になる自信だけがついた。
 廊下を歩いている時、何度も目に止まった花が気になり、少し近づいてみた。

「それが気になりますか?」
「…はい。綺麗だと…思いまして」
「その花は金盞花と言って、冬に咲く花でとても綺麗なのですよ」
「いい香り…」
「よろしければお部屋に飾りましょうか?」
「い、いえ。そんなつもりでは…」
「花は定期的に入れ替えているのでお楽しみにしていてください」
「はい…」

 楽しみにする。それが一体どんなものかは知らないけれど、この花はずっとみていたいと思う。

 この日は屋敷のことを覚えるために、白幸さんにたくさん教わって1日を終えた。
 夜、部屋で敷かれた布団を見て、どうしてもそこで寝る事ができず、部屋の隅に寄って膝を抱えて眠った。