スノードロップ




*  *  *



改札を足早に通り、ホームの柱にもたれかかって鞄にしまった小説を読む。


――ツンッ


2ページ目をめくった時、右頬に冷たい感触がした。


指で突かれたみたいな。


「ひょ…?」


「はよ、橘」


「お、おはよ」


「ひょって何なん。ひょっとこか」


「……驚いたから」


こんなときにもツーンとしてそっぽを向いてしまう私は、本当に学習能力がない。


すると、咲坂の長くて真っ白な指が、私のマフラーを指差した。


「そのマフラー寒そう」


「そうかな?ちょっと寒いけど」


「俺の貸そうか?」


「いいよ!咲坂が寒くなっちゃうじゃん…!」