そんな逞しい薔薇は、煙草休憩が欠かせない伊佐美に棘のある視線を向けがちだった。
非喫煙者のこの手の視線は、なにも理央に始まったことではない。
彼女らはきっと喫煙所の人間を「休み過ぎ」と思っている。
実際、休んでいるし弁解はしないが、理央の視線はなかなか痛かった。かと言って小さな娯楽を止める気はないが。
しかしそんな気不味い視線も唐突に消えた。
「何してるのかなとは思ってましたけど……――」
その日、偶然が重なって理央は伊佐美の娯楽を『パイプ役をしてた』のだと解釈した。
情報収集の場であり、確かに円滑な人間関係作りの足掛かりにしている一面もあるが、娯楽は娯楽。
自分では大したことをしたつもりはなかったが、しかし営業部の薔薇はどうやら伊佐美を見直してくれたようだ。
そして、――誰にも明るく、裏を返せば隙がない彼女は、心を開いた相手には警戒が非常に薄く、素直で人懐こかった。
薔薇に見えた彼女が途端に自分の後をついてまわる仔犬に変わり、そのギャップに伊佐美は面食らった。
ただし懐かれているからといって気を緩めていれば、理央の言葉は時にあらぬ角度から刺してくる。
気のせいだとは思いたかったが、そんな彼女を目で追ってゆくようになる自分がいた。
非喫煙者のこの手の視線は、なにも理央に始まったことではない。
彼女らはきっと喫煙所の人間を「休み過ぎ」と思っている。
実際、休んでいるし弁解はしないが、理央の視線はなかなか痛かった。かと言って小さな娯楽を止める気はないが。
しかしそんな気不味い視線も唐突に消えた。
「何してるのかなとは思ってましたけど……――」
その日、偶然が重なって理央は伊佐美の娯楽を『パイプ役をしてた』のだと解釈した。
情報収集の場であり、確かに円滑な人間関係作りの足掛かりにしている一面もあるが、娯楽は娯楽。
自分では大したことをしたつもりはなかったが、しかし営業部の薔薇はどうやら伊佐美を見直してくれたようだ。
そして、――誰にも明るく、裏を返せば隙がない彼女は、心を開いた相手には警戒が非常に薄く、素直で人懐こかった。
薔薇に見えた彼女が途端に自分の後をついてまわる仔犬に変わり、そのギャップに伊佐美は面食らった。
ただし懐かれているからといって気を緩めていれば、理央の言葉は時にあらぬ角度から刺してくる。
気のせいだとは思いたかったが、そんな彼女を目で追ってゆくようになる自分がいた。



