――父親の不倫、両親の離婚、跡目争い。深夜のドラマ枠にありがちな展開だ。
妊娠中から不倫を繰り返していた父に耐えかねた母が、伊佐美を連れて家を出たのは十歳の頃。
物心つくころから身の回りのことは全て母が行い、参観日も誕生日も母だけが大切にしてくれた。何も不自由はなかったが、しかし父と遊んだ記憶はない。
いつも母は幼い自分のために「お父さんはお仕事が忙しいの。でも本当は圭吾のことが大好きだし、優しくて実直な人なのよ」と言って、家を空けがちな父をフォローしていたが、幼くとも年を重ねれば何が起きていたかは分かった。
「もう無理しなくていいよ」と最後に母の背中を押したのは伊佐美自身だ。
あれは血が繋がっているだけの他人だと思うことにした。
心機一転して始まった母と二人の生活は家族のふりをしていた十年間よりも心地が良かった。
しかし母との平穏な生活に陰りが差したのは、父が三番目の再婚相手と別れたあとだ。
高校二年の春。バスケの強豪でもあった工業高でPGとしてレギュラーを獲得した時期だった。
父は何度も母に会いに来て息子に会わせろと迫っていたようで、なんと迷惑なことに部活終わりに押し掛けてきたのだ。
妊娠中から不倫を繰り返していた父に耐えかねた母が、伊佐美を連れて家を出たのは十歳の頃。
物心つくころから身の回りのことは全て母が行い、参観日も誕生日も母だけが大切にしてくれた。何も不自由はなかったが、しかし父と遊んだ記憶はない。
いつも母は幼い自分のために「お父さんはお仕事が忙しいの。でも本当は圭吾のことが大好きだし、優しくて実直な人なのよ」と言って、家を空けがちな父をフォローしていたが、幼くとも年を重ねれば何が起きていたかは分かった。
「もう無理しなくていいよ」と最後に母の背中を押したのは伊佐美自身だ。
あれは血が繋がっているだけの他人だと思うことにした。
心機一転して始まった母と二人の生活は家族のふりをしていた十年間よりも心地が良かった。
しかし母との平穏な生活に陰りが差したのは、父が三番目の再婚相手と別れたあとだ。
高校二年の春。バスケの強豪でもあった工業高でPGとしてレギュラーを獲得した時期だった。
父は何度も母に会いに来て息子に会わせろと迫っていたようで、なんと迷惑なことに部活終わりに押し掛けてきたのだ。



