たしか店に来る前、伊佐美は電話をかけていたが、これから向かうと伝えただけだった。
しかし先ほどの会話といい、まるで理央がこの店に来ることがあらかじめ決まっていたような雰囲気がある。
――何が起きているのだろう。
部屋には既に冷酒が既に用意されていて、さらには『海の幸のムース仕立てと』と小さな札が置かれたカクテルグラスがあった。
オレンジ・グリーン・ホワイトの三層のゼリーの上に炙られた海老がトッピングされていて、見た目が華やかな手の込んだ一品だ。
お詫びと伊佐美は言っていたが、些かやりすぎな気がする。
しかし伊佐美は、乾杯したあといつもと変わらぬ調子で問う。
「で、早速だけど。この二年どうだった?零士くんへの未練は」
単刀直入に向けられた問いは、二年前まで理央が伊佐美と会うために使っていた大義名分だった。
「……泣いてたのは、何の涙だったんだ?」
二年ぶりに会ってまず確認してくるのが涙の意味だなんて、彼らしいというべきか。
まるで最近まで会っていたように遠慮なく尋ねてくる伊佐美に、理央の警戒心は少しだけ解ける。
「それ聞きます?」
「そりゃあ、気になるだろ。何のために呼び止めたと」
「え。恋バナするためですか」
「まぁね。お前は落ち込んでる時こそ明るく振る舞うからな。しかも仕事に一切出さないぶん、どうせ一人で泣くんだろ?酒でも入れて発散しとけよ。ストレス溜まるぞ」
「うっ……」
極めて涙もろいわけではないが、伊佐美の言葉は的を得ていた。
しかし先ほどの会話といい、まるで理央がこの店に来ることがあらかじめ決まっていたような雰囲気がある。
――何が起きているのだろう。
部屋には既に冷酒が既に用意されていて、さらには『海の幸のムース仕立てと』と小さな札が置かれたカクテルグラスがあった。
オレンジ・グリーン・ホワイトの三層のゼリーの上に炙られた海老がトッピングされていて、見た目が華やかな手の込んだ一品だ。
お詫びと伊佐美は言っていたが、些かやりすぎな気がする。
しかし伊佐美は、乾杯したあといつもと変わらぬ調子で問う。
「で、早速だけど。この二年どうだった?零士くんへの未練は」
単刀直入に向けられた問いは、二年前まで理央が伊佐美と会うために使っていた大義名分だった。
「……泣いてたのは、何の涙だったんだ?」
二年ぶりに会ってまず確認してくるのが涙の意味だなんて、彼らしいというべきか。
まるで最近まで会っていたように遠慮なく尋ねてくる伊佐美に、理央の警戒心は少しだけ解ける。
「それ聞きます?」
「そりゃあ、気になるだろ。何のために呼び止めたと」
「え。恋バナするためですか」
「まぁね。お前は落ち込んでる時こそ明るく振る舞うからな。しかも仕事に一切出さないぶん、どうせ一人で泣くんだろ?酒でも入れて発散しとけよ。ストレス溜まるぞ」
「うっ……」
極めて涙もろいわけではないが、伊佐美の言葉は的を得ていた。



